6月の思い出

コーニッシュ

私が店長として働いていた時の、毎週土日に夫婦で仲良く来られるお客様の思い出です。

来る時間も帰られる時間も同じ・注文も毎回同じ、座る席も同じ・・・
季節は変われど、いつも同じようにウォーキングの合間のブランチで利用してくださいました。

ある梅雨の日・・奥様一人で来店され、
私「今日は?」
奥様「主人が体調を崩して入院しているんです・・誰よりも健康には気をつけていた人なんですけど・・・でも月末には退院予定なんです!手術は成功してすぐにでも帰れるようで」
私「そうですか・・・お寂しいですね」
奥様「たまには、一人も楽ですよ。歩くペースも自分の好きにできますから」
と寂しそうな笑顔で、いつもの席をいつもより少し早い時間に立たれました。

次の週から奥様は来られませんでした・・・

しかし、2か月後・・・
ご夫婦でご来店されました。
旦那様「よう!店長!」
と やつれた感じで、少し振り絞ったような元気な声を放ちながら
いつもの席に座られ、同じメニューを注文し・・
そこからずっと入院中のしんどかった話を顔見知りの従業員を捕まえては笑顔で話されていました。
奥様「店長さん、すいませんね~ でも入院中もずっとこの店で食事をすることを、この人楽しみにしてたんです」
と申し訳なさそうな、でもどこか嬉しそうな表情で話されていました。
その日は、いつもの時間を1時間もオーバーして
「店長!ごちそうさま!また来週な!」

旦那様とはその日が最後でした。
2週間後、奥様が一人で来られて悲しい報告を聞きました。
いつもの席で、いつもの時間に、いつもの料理を「1人前」注文されました・・
私は、2人前作るように指示をし、
一つは、奥様の前に、もう一つは旦那様の席の前にお出しすると・・
寂しそうな笑顔で
「ありがとうございます」
と云われた後
「自分のペースで歩くのは楽ですけど、一人で歩くのはさみしいですね・・」
「これからも、この時間この席は空けておきます。毎週 お待ちしていますね」
私には、このぐらいしか云えませんでした
それから、1カ月ぐらいたった時でしょうか・・
元気になられた奥様がご来店下さいました。
その奥様は、息子さんを連れてウォーキングを始められたようで、
いつもの時間になると、同じ席に座られ、同じ注文を2人前されるようになりました。
ただ、座られてからの汗を拭く回数は増えたように思います。